現在の看護ケアの方向性と問題点について

医療現場では看護ケアという言葉が使われていますが、具体的には患者に対して、体だけではなく心のケアも行うことを意味しています。従来の看護は、患者の延命と安全の確保が何よりも優先されていました。ベッドからの転倒を防ぐという名目で、患者を拘束する行為も普通に行われていたのです。
しかし、現在では単に安全を確保するだけではなく、患者が快適に過ごせる環境であることが重要視されています。安全第一を理由に患者を拘束することが原則的に禁止されているほか、行動を無暗に制限するのもよくないことと周知されつつあるのです。特に、患者が自分の意思で歩き回ることについては、できるだけその意思を尊重するのが正しい看護ケアとされています。

患者の意思を否定するような行為は、本当の意味での看護ではないとされています。これは、抑圧された環境ではストレスが溜まり、それが体調不良の引き金になる可能性があるためです。看護ケアについても同様であり、危険だからという理由で患者の意思を否定するような対処を続けると、体や心の具合が悪くなってしまいます。治療がかえって体を余計に悪くすることになってしまうため、現在では可能な限り患者の意思を尊重する方向に向かっています。
一方、患者の意思を最優先することも安全確保の面でよくありません。歩行機能に問題がある患者を、一切の介助なしで歩かせるなどの行為は決してあってはならないことです。患者の意思を大切にしつつも、医療現場を正常に機能させるための対処を取ることが、現在の看護ケアの課題です。

(詳しい看護ケアについてはこちら:よりよいケアを目指して