高齢者へのよりよい看護ケアのポイントとは

高齢者は複数の疾患を抱えていることが多く、異なる医療機関を受診して検査を受けたり、治療を選択したりしていることがよくあります。しかし、高齢者は視覚障害や聴覚障害、それに加え、認知機能の低下などから、疾患そのものや治療に対する説明を受けても、理解することが容易ではありません。
そして、近年は多剤服用による副作用も問題となっており、急性期病院に入院した患者のうち、70歳以上の人は60歳未満と比べおよそ2倍の副作用の発現率となっているのが現状です。こうした状況から、高齢者が治療の目的と治療によるリスク、薬の副作用に関して理解したうえで、どの治療を受けたいのかを考えて選択できるように支援することが、看護ケアのポイントとなります。

まず、高齢者は入院治療により、病院という特殊な環境での生活、疾患への不安や睡眠リズムが変わるなど、さまざまな理由からせん妄という混乱状態に陥りやすく、精神面に与える影響を考慮することが大切です。また、終末期医療においては、認知機能が保たれている段階で将来望む治療に関して、なんらかの方法で自らが配偶者や子供、兄弟などに伝えられるように支援することも必要です。
こうした支援は、アドバンスケアプランニングを活用することが重要になります。繰り返し患者本人が将来望む治療について対話を続け、患者の意思を話し合いごとに文書に残していきます。繰り返し行う理由は、治療を続けていく中で希望が変わることもあるためです。それにより、希望や価値観などを明確にしていきます。